買いと売りと待ち

酒田罫線法による操作を練習しています。基礎に10年、道具は生涯。

職人の道 先ずアンテナを建てる

私の会社には、業界内で数少ない職人が一人居る。もう定年をとっくに過ぎて、70歳に近いがアルバイトと言う形でずっと続けている。本人も周りも全く違和感がない。それどころか、新商品製造工程でのデモンストレーションを行うこともある。仕事がなければ、絶対に来ないし、掃除や準備も一切しない。道具は自前のものを使う。
既にうちの会社に来たときには、教える気力もないようだったので、技術の伝承はないが、居るだけで覇気というものを何となく感じる。でも話すととても優しい人でお酒は飲まない。

名人と言われた方に興味をもったので、ウィキや本や記事、そしてyoutubeを見ている。
そう呼ばれる方には、師匠も名人であり、弟子にも名人がいる。その弟子も自立し技術の伝承、師匠への恩返しといって、弟子を育てる。
教育において共通する信念があると読み取れる。

①道具を毎日研ぐ
②寝食を共にする。
③見習い時から仕事という意識を与える。
④時期が来たら、一人で任せる。
⑤自分で考えさせる。
⑥美しさを優先させる。
⑦段取りを覚える。
⑧仕事前の準備をする。

と今思いつくだけでもこんなにある。
どれも、職人としての成長に欠かせないもの。

先ず入門したては、技術を教えて貰おうとするのではなく、学ぼうという気構えが必要となる。どんなときでもアンテナを建てて、生活レベルで他の人が何をしているのか?を観察する。
見習いで皿洗いや接客、掃除、準備を行うというのはこの感覚を育てるために、何より先ずは身につけなければならない必要な技能ではないのかと思う。